亜鉛欠乏と精神・行動への影響

海辺の杜ホスピタル 精神科医師 清水 峻

亜鉛欠乏と聞くと味覚障害を真っ先に思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし亜鉛は300種類以上の代謝酵素の活性化に必要な成分で、その働きは味覚の維持にとどまらず、免疫、発育、皮膚代謝、生殖機能や精神・行動への影響にまで及びます。
例えば抑うつ状態や情緒不安定は亜鉛欠乏で出現することがありますし、暴力を振るう若い男性で血清銅(亜鉛の拮抗イオン)/血清亜鉛比率が高かったとする報告や、うつ病の患者さんで血清亜鉛値が低い・病状の改善とともにその数値が回復する・プラセボと比較して亜鉛を補充した方が抗うつ効果が高い、といった報告があります。
亜鉛を多く含む食べ物としてはカキや煮干し、ピュアココアなどがありますが、欠乏状態から食事療法だけで改善することは難しく亜鉛製剤を内服することが推奨されます。爪に白斑(亜鉛欠乏の一症状)がある人は一度血清亜鉛値を測ってみるとよいかもしれません。