病名と告知⑤(終)認知症と本人への告知<後編>

海辺の杜ホスピタル 医局長 町原 敦

認知症は基本的には進行性の疾患で、告知についての心理的ケアがとても大切となります。物忘れの自覚があり自ら受診された場合でも、単に診断や進行性の事実を伝えるだけでは有害無益と考えます。
先のことを考え悲観的になるのではなく、今できることをしていく、それを家族含め一緒に考えるサポート体制がとても重要です。認知症の進行を遅らせるといわれている薬の存在は少なからず救いになります。
ある程度認知症が進行した状態(病識に乏しい状態)で、どこまで告知するかはケース・バイ・ケースです。体の調子や今の生活の困り事を中心に対話を続けていく緩やかな診療となります。身体機能の低下、食事が取れなくなった際の方針などは、ご家族の意向を中心に進めることになりますが、認知症を持った方への手術の同意、がんの告知といったテーマを含め、本人、家族にとって何が最善なのかをその都度一緒に考えていく、それが医療にできることとなります。(終)