治療、教育、育ち③

海辺の杜ホスピタル 院長 岡田 和史

前回、前々回と「育てる」、「治す」ことより「育つ」、「治る」ことが大切で、特に若い患者さんの場合は、その内発的な力を信じて待つことが必要と述べてきました。では、精神科の医師や家族が積極的にできることはないのかという疑問が浮かぶかもしれません。
私は、治療や教育は、魚釣りに例えることができると思います。魚が餌に食い付くことは、あくまで魚自身がすることですが、より良い時間や場所を選び、餌の種類や仕掛けを工夫することで魚の釣れ具合は変わってくるでしょう。われわれには、より釣れるような、より育つような工夫を積み重ねることが求められます。
また、医師は薬を処方もしますし、時には登校や就労を促し背中を押すこともあります。啐啄同時という禅の言葉がありますが、そのような働き掛けも、あくまで本人の中で準備が整ってくるときとリズムを合わせる必要があり、そのタイミングを正しく読む努力も大変重要なことだといえます。